027 – バナナパワーの時間

知り合いのなかにはバナナパワーを毎日必要な人がいる。

平日よりも週末、特に昼寝から起きたら奥さんに作ってもらったそれを飲むのが楽しみみたいだ。

ミルク一杯にバナナをミキサーに入れて砂糖少々加えて、よくブレンドしたバナナパワーは、殆ど一気飲みする。テレビCMみたいに、

「イッパツ!ファイト!!」

と叫んだかのようにすこぶる元気に見える。そして、次にお仕事を取り掛かる。

湘南方面の海辺にあるかれらのマンションからは海が見える。サーファーで賑わっている夏のビーチは懐かしい。

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026 – デザートの時間

家族でファミレスで昼食することにした。

設計的にとてもゆったりしているのがお気に入りだ。子どもたちは好きなものを注文し、大人はどれも誘惑たっぷりの写真に迷いながらもやっと決めた。

店内にはかなり混んでいる。若者より年上が相応しい日本のファミレスは、時代を物語るなにかを感じる。ファミレスと言いながらも立地や喫煙所の割合などを考えると、決して家族向けとは言いがたいところがある。

食後のデザートを頼んだ。

とても贅沢な感じがした。お金を払ってもまた来たいとそうお客さんに思って頂けるサービスとはなにか、私は考えていた。

飲食の究極はそこだと思った。

025 – 恋の時間

ガラス張りのそのレストランは、どの角席にいても外から降り注ぐ光を浴びることができる。例え一杯のコーヒーを飲むにしてもそれは幸福な時間に思える。彼女はそう思ったに違いない。

だが、彼女は日光浴をせずにひたすらケータイを弄っていた。細胞のような、皮膚の一部となったケータイから彼女は目が離せない。メールがあってはすぐに返事を書いているし、メールが届かない間はずっとメールチェックを繰り返して指を動かしていた。

一方、外の通りを挟んで向こう側には大きな公園がある。寒いにもかかわらず、幸せが空気中に充満している。子どもたちや親子の笑い声が芝生にこぼれ落ちている。中にはペット連れの方もいらして公園は日光で輝かしい。

さっきのレストランにいた彼女はケータイとにらめっこで時にはニヤリと笑顔になったり時には落ち込んだりした様子で喜怒哀楽を短時間で繰り返して体験しているようだ。最後には溜息をこぼしながらケータイを閉じて目の前にあるドリンクを一気にストローで飲み干した。

と、そのときだ。

公園側に目を向けた彼女の視野に入ったのは、一匹の犬だった。悲しそうにこっちにも見つめている犬と目があった。

2秒の間があった。レジに急いで彼女は支払いを済ませ急ぎ足で犬のほうに向かった。

日光は寒い空気を通り抜けて地面まで降り注いでいた。

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