035 – うさぎの時間

入った店にはうさぎのパンというのを売っていた。

用事と用事の間に見積書やら確認事項やら電話で済ましてからひと息を入れる。

窓越しには林立するマンションが見える。ここは新しい街のようで、活気がありこれからますます発展して行きそうな気配だ。

頼んだブレンドコーヒーは美味しくもなく不味くもなく少しずつ飲まれていく。次の用事までに。うさぎのパンを食べてぴょんぴょんと次の用事に急ぐ。

外では日差しがのどかに街をソソギ込んでいる。

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034 – トワイライトの時間

運転中にラジオから流れていた曲を聴きながら曲名がそのまま使えるので頂いた。

ToDoリストが少なくて不安に覚える時がある。二つ三つも違うお仕事を持っていると、尚更だと感じる。休みは世の中と合わせる必要がないと思ったものの、小学生たちが実は世の中と合わせているのに気づいてハッとした。

なので、お仕事のお休みとクライアントのお休みと、家族との休日の過ごし方に少しでもずれると、今自分はどこにいるんだろうと確認せずにはいられない。

そんな時間帯の間に時々陥るのだった。

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033 – かんだいの時間

テレビばかりを観ている子どもたちを家から連れ出した。

買い物というと、子どもたちは大人の付き添いに興味がないので、食べ物を買いに行こうとごまかした。

スーパーで電球を買い求め、食材を漁っているうちに喉がカラカラになった。暖房の付けっぱなしの空間は喉がやられると相場が決まっている。

「のどがかわいた!」

子どもたちは探知機みたいにすぐ環境に反応した。ドリンクの棚に移動し物色していたら、「世界のKitchenから」新しいシリーズを見かけた。ソルティ・ライム。

子どもたちはこれ飲んでいいの?と聞く。確かに一瞬ソルティ・ドッグにも間違えた私。岩塩をひとつまみという日本語のサブタイトルが付いている。

英語の表示にはソルトアンドライムとなっている。日本語はかんだいだなあと思った。それくらいの遊びを許してもいいかなという心持ち。このシリーズはとても好きなので、働いているチームにとても会いたいのだ。

「もう1本すきなの買っていいよ〜」

普通の家は1人一本だろうけれど、食品不足の環境で常にきょうだいでシェアしろというマガッタ教育の我が家では、2本はラクシャリーなのだ。

ソルティ・ライムは甘さが控えめでありながらちょうど良さが感じられ非常に飲みやすい。個人的にはもう少しすっぱさを1ミリグラム多くしても良いくらいだが、子どもたちは美味しいと絶賛していた。

ゴクンゴクンと飲み回している4人家族。最後に必ず少し残している。

この暖かさを晩年のぬくもりとしてきっと私を羽織り続けてくれると信じている。

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032 – 連休明けの時間

学校が始まる。

幼稚園は小学校より一日遅れてまた通常の送り迎えが待っている。

新しいオフィスに良さそうな物件があって連絡をとってみたところ、いい感触だった。パートナーの意見を伺い、一度見学してみたい。かつて住んでいた駅だったので、懐かしく思う。

連休中には寒いせいもあろうか、商売はみんなヤル気が出ない感じだった。お正月気分は今週末までだろうから、来週はまた忙しい日々が待ちわびているに違いない。

コーヒーを飲んでいる場合ではないけれど。

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031 – 妄想の時間

あの恋の始まりは、きっとこうだったのではないか。そう強く感じた。

人のなり初めは、勝手に想像するのを憚りながらも物語はひとり歩きし始めてしまった。もうどうしようもなく進んでいっていて止まらなくなってしまった。止める理由もなく、全てはとても納得の行く形で進行し続けている。

そんなことが脳裏でメリーゴーランドしているうちにキーボードで書き留めたくて仕方がない。だが、ついて行けなくて物語は私の手掌から翼を羽化して飛び立とうとしているのだ。

裏舞台の監督のつもりでも結局は観客になってしまった。そんな錯覚に陥っているのだった。私は赴くままにそう従った。

目の前の冷めたコーヒーと現実に戻って、私は一気に飲み干してキッチンに立った。

夕陽は眩しかった。

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030 – 連休前の時間

ネコはだらんとサンルームで寝そべている。

人とのミスコミュニケーションで嫌な予感がした。挽回するにも連休前ではどうにもならないと思い、後の祭りにならないようにほかの用事を先に片付け出した。春はまだまだ先だと感じた。

同窓会の集まりに出席した人から報告があり、飲まなくなった身としては参加できなくてちっとも惜しいとは思わない。それは同窓会が飲み会と同義語のせいだろうか、あるいは年のせいだろうか。

連休で外で歩いている人が非常に少ない。そんな気がした。

ネコは幸せそうに日光浴を満喫している。

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029 – 手書きの時間

年賀状を書いていた時のこと。

年に何回も手書きなどしていないせいか、たったの十なん枚の年賀状を書いたところで手が痛かった。変な神経を使っているその感覚が不思議で不思議でならない。良い練習だと思ったものの、書けど書けど楽にならず。ローションを塗らなくちゃ。

来年からは完全にメールでの年賀状に移行しようと考えている。今のように単純なメールではなく、また今のハガキ年賀状を差し替えてもいいサービスをも期待している。だれに期待してんだか。

そして世の中の人間関係はもっとシンプルにしたい。それが目下の抱負にしたいくらいだ。

年賀状の人間関係をカテゴライズできずに何年も前からの悩みなのであった。

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028 – ハトの時間

メールチェックは週1。

知り合いにはパソコンをその程度しか立ち上げていない人がいる。本人にはまったく支障が出ずずっとやってきているようだ。

たまに旧友の誘いがあってーー年に何度かの程度ーー1週間か2週間以内で話を進めようとすると、「不在」の多いかれとは、なかなか都合が合わない。

かれとだけ電話で確認して老人会長の秘書みたくまとめた話を全員にメールで流す。その方法は自己肯定でしかないので、実行はもちろんしなかった。結局はいつもずれていたので、暫くは会わずじまいだった。

で、例年の飲み会の話が出てきた。

転職の多かった私にはメールを違うところに出して話が進んだところで、Gmailに来た。ズレズレゲームみたいな。来週の金曜になった。私は先約があるので、ダメですとすぐに返事を書いてメールを返した。

それでもハトメールは今週末か来週末にしか来ないだろうから、待ち遠しい。

027 – バナナパワーの時間

知り合いのなかにはバナナパワーを毎日必要な人がいる。

平日よりも週末、特に昼寝から起きたら奥さんに作ってもらったそれを飲むのが楽しみみたいだ。

ミルク一杯にバナナをミキサーに入れて砂糖少々加えて、よくブレンドしたバナナパワーは、殆ど一気飲みする。テレビCMみたいに、

「イッパツ!ファイト!!」

と叫んだかのようにすこぶる元気に見える。そして、次にお仕事を取り掛かる。

湘南方面の海辺にあるかれらのマンションからは海が見える。サーファーで賑わっている夏のビーチは懐かしい。

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026 – デザートの時間

家族でファミレスで昼食することにした。

設計的にとてもゆったりしているのがお気に入りだ。子どもたちは好きなものを注文し、大人はどれも誘惑たっぷりの写真に迷いながらもやっと決めた。

店内にはかなり混んでいる。若者より年上が相応しい日本のファミレスは、時代を物語るなにかを感じる。ファミレスと言いながらも立地や喫煙所の割合などを考えると、決して家族向けとは言いがたいところがある。

食後のデザートを頼んだ。

とても贅沢な感じがした。お金を払ってもまた来たいとそうお客さんに思って頂けるサービスとはなにか、私は考えていた。

飲食の究極はそこだと思った。

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