158 – 孤独の時間

夜空に月を見上げると、不思議に誰かがどこかで同じ思いを持っていてくれる。そんな安心感がいいのだ。リリーフランキーさんの題を拝借すると、こうなる。お月様と孤独感とぼく、なのだ。

かつて大学生の頃に、創作の道を極めようとする友人がいた。漫画家を目指して。

当時の私はというと、日本語を仕事の武器として磨き上げようとする一心だった。言語はあくまでもツールに過ぎず、他に何か専門的な知識を身に付けた方良いのではというアドバイスも頂いたが、無理もない。世の中は効率化が進んでいるのだから。世間一般的な常識は、だいたいにおいて私には用のないことだ。

あの頃は夜な夜な夜更けにひとりで机に向かうのは、誰とも分かち合えることのない孤独な作業だった。

例の同級生とはお互いは大学で会ったりしていながら文通相手としてもよく手紙を書いたりもしていた。

そんなある日、漫画家の卵からハガキが届いた。受賞のお知らせだった。締めの文章は、今でも鮮明によみがえることができる。

最高なる孤独の時間を過ごしたあの頃は、もっとも日本語が下手でもっともモウレツにたくさんの日本語を書き散らしていたように思えた。もう二度と読み返したくない匂いがするあのニホンゴ。でも友人の文章はいつまでも読みつづけていたい。

「あなたが夜机に向かう時に私も机に向かっている」

同級生のハガキは今でも心に焼き付いている。明け方の空にまで刻印しているように思える。

Image_1

iPhone

  1. furagadou quta left a comment on 2011/11/25 at 2:00 PM

    こう続けよう。あなたが心を込めて書き上げた文章は私が読んでいる。と

  2. Eric Yap left a comment on 2011/11/26 at 1:51 PM

    感謝深謝。

Comments are closed.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。