300 – 羊の大行進

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8人のミニバンは千葉の富津(ふっつ)に向かう。マザー牧場を目指して。

目的地に着いたのは、すでに午後1時。1時間は足りないだろうが、それでもお昼は2時半以降になりそう。

かなり狂ったスケジュールとなるが、観光客は興奮じみた様子で、タブレットやスマホで写真を撮りまくりだした。中には、大草原でボリーウッドのインド映画の主人公みたく踊り出して芝生の上で転がそうじゃないか。

小さい子どもを親に預けて中年の男女たちは、大草原ではしゃぎ回る子どもに戻る。そんな感じの光景だった。お腹の痛くなるくらいわらう。

この世代もマレーシアの発展に自らの青春を貢献してバリバリ働いてきた層でもある。だが、社会は一向に良くならない。今まで突き進んできた道に疑問符が浮き上がる。

ボソッと言ってくれたひとことが脳に焼き付いていてなかなか忘れない。

街はとても綺麗で落ち着きがあり、何よりも治安がいい、と。

年を取ると、だれしもダイナミックに変化する社会を求めていない。心の休ませてくれる桃源郷を捜し求めるのかもしれない。

旅行はいいなあ。そんなことを思った。

そして、それを手伝える仕事も悪くない。

時間になっても戻ってこないさまよえる羊たちを誘導して牧場から押し出して、お昼とも晩ご飯ともならないご飯の時間に連れていった。

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